RZ250R-平成最後のエンジンレストア 3
まずはクランクをキレイにするのだ。
徹底的にキレイにします。 クランクケースの相面には液体ガスケットのあとがついているので、これをスクレイパーである程度落したあと、ケミカルやウエスでの擦りなど色々な技を駆使してとにかくキレイにします。 ちなみにスクレイパーは主にOLFAの別たちを、細かいところはアートナイフも使っています。しかも、新品は刃が鋭すぎるので、ある程度使って刃がヤレてからが塩梅が良いです。 スプロケまわりもオイルスラッジのギトギト汚れが付いているの、これも出来るだけキレイにしておきますが、どうせすぐ汚れるところなので、ほどほどでやめておきます。 ニュートラルカバーは外して点検、カバーの割れも無く、Oリングも再利用出来そうな感じでしたので、ここは清掃してOリングにはシリコングリースを塗布して組みました。 もし、カバーの割れやOリングの劣化で今後オイルが漏れてきても、ここはアプローチがしやすいので、その時交換すれば良いパーツです。 |
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ちなみ今回使うシリンダはこれまた10年以上寝かして熟成した中古51Lシリンダ(STD)です。 保存する時にシリンダ内面にはオイルをしみ込ませた新聞紙で防錆して、邪魔なシリンダスタッドボルトは抜いてからラッピングして保存していたので、入手後の劣化はほとんどしてないようです。 RZ250Rのシリンダは29L、51L、1XGとシリンダ型式があるのだが、51Lのみ吸気からクランク室に入っていく補助ポートが付いている。 年代的にも51Lシリンダ時代はRZ250Rはヤマハ2ストの最先端マシーンで他社との性能競争に負けないように色々と頑張っていて、この補助ポートもその頑張りの一つではないかと思う。 次の1XGシリンダの時代には最先端はTZR250が担っており、RZ250Rはスタンダードな2ストに立ち位置が変わってしまった為、シリンダにもそこまでコストを掛ける必要が無くなって1XGの補助ポート無しのシリンダに戻ったのではないかと、、、勝手な推測。 つまり、一部のマニアが言う51Lシリンダ最強説を私も信じているので、51Lのシリンダを好んで買い漁ってきました。 |
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で、クランクケースを上下分割している時に非常にチェックしやすいことがあるので、ここでやっておきます。 使うシリンダをケースにはめて覗き込むと良く分かるのだが、ケースとシリンダに段差がある。特に上画像で矢印の部分が空気の流れを阻害しているので、これを削ります。 シリンダ単体で見ると丸で囲った部分になります。それ以外にも小さく出っ張っている部分もあるので、そこも削って補正します。 腰下が完成してからでも光明丹で合わせ面のアタリを出して削ることも出来ますが面倒です。こちらの方が簡単で目視で確認出来るので、最終的にポートとかも削りますが、ここだけはまず先に削っておきます。 |
不要部分を削った画像です。邪魔だった出っ張りが無くなりました。 ここは51Lだと補助ポートからの吸気が入ってくるところなので段差(抵抗)を無くしてあげることで、スムーズな吸気と掃気が行えると思っておりますし、こうして作ったエンジンはとても滑らかになるので、これから行うポートの加工も含めて、小さな作業の積み重ねですが、最後にはそれなりの効果はあります。 ちなみに今回は出っ張りを削りましたが、画像では分かりにくいのですが、シリンダ側には小さな凹みもあります。究極を目指すのであれば、ココにはパテを盛って段差を無くすのが良いのですが、小さな凹みなので今回は補正せず。 |
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続いてケースの加工を。 クランクケースの画像部は凹凸の形状になっているため、ここをパテで埋めてスムーズな掃気を行えるようにするのと一次圧縮UPをはかります。 まずはパテが付きやすいように表面をリューターで削ってならします。リューターはプロクソンの小型電動リューターを長いこと使っていますが、最近、モーターから異音がしてきたので、分解してモーターに奇跡の潤滑剤ベルハンマーをモーターに注してみました。以前のYPVSサーボモーターと同じく異音が無くなりました。なかなかの潤滑剤です。 完全に壊れるまで直し続けて使い続ける管理人です。。。。 |
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パテ盛りするパテはマジックスチール(耐熱280℃)と言う粘土パテを使っています。 パテの選択肢は色々あると思いますが、剥がれたり、溶けたりと万一問題があると大変なので、私の仕様実績からマジックスチールを愛用してます。かなり長い年月使っているエンジンでも問題は起きたことがないです。 盛る量は凹みが埋まるプラスα位に盛ります。一次圧縮UPばかり考えていっぱい盛っても、今度はそれで掃気口の面積が減ってしまいます。いっぱい盛って上記画像のようにクランクケースにシリンダをはめる見てみると盛り過ぎは良くないことが分かりますのでやってみると良いでしょう。 つまり、ココのパテ埋めは一次圧縮向上と言うより、凹凸を埋めてスムーズな掃気を行うことを重視します。 で、パテを盛ります。粘度パテこねて数分で硬化してきますので、少量づつスムーズな作業を行います。また、パテ内や盛る時に気泡が入るとそこからクラックが入る可能性が高いので、エア噛みは無いように盛りつけます。 オイルの注油穴はサイズの合うストローや丸棒を突っ込みます。今回は丸い箸をパテ盛り後にすぐ差して形状を整えました。 硬化したら、リューターで仕上げて完成です。 |
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欠けてしまっていたクランクケースのリブも同じパテで直しておきます。 パテで盛ったからって強度は戻りませんが、見た目が悪いですからね。 パッと見はほぼ分からない程度に直せました。 |
ここまで掛かった費用
エンジン分解のみ | ¥0 |
クランク消耗品パーツ(モノタロウ) | ¥12,089 |
マジックスチール(アマゾン) | ¥1,718 |
合計 | ¥13,807 |
おしまい
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20500