RZRの開発は1981年開発コードナンバー08Yとしてスタートするが、1979年のケルンショーでのRZ(初期型)の衝撃的登場の時よりすでにYAMAHA内では構想が上がっていたと言う。 RZ(RZ250 機種コード4L3、RZ350 機種コード4U0) ※皆様ご存知の通り、世間様ではRZ(4L3)の方が圧倒的に2ストの名車と言われています。(でも、RZRの魅力に取り憑かれてしまったオーナーにとってはRZRの方がカッコ良くって、速くて、乗りやすいRZRが名車なんです!
イメージとしては、市販レーサーTZではなくワークスマシンであるYZRの250ccストリートバージョンであり、1982年GK・ID研究所にて基本デザインが決定。
エンジンに関してはそれ以前より開発がスタートしていたと言う。 一番の目玉はワークスマシンやモトクロッサーにすでに採用していたYPVSであり、これにより低速から高速まで高いトルクを発揮。信頼性に関しても、セルフクリーニング&スターティングセットで確保された。 また、電子進角式CDIやRZでの欠点の一つでもあったサーモスタットも装備された。 YPVS(ヤマハ・パワー・バルブ・システム)とはファクトリーマシンYZR、YZMで採用し、研究、開発を重ねてきたヤマハ独自の2サイクルエンジン技術の一つで、2サイクル独特の出力特性を積極的に活用し、排気タイミングをエンジン回転に応じて自動的に変化させることにより、低速から高速まで全回転にわたり、大巾な出力向上を可能とした。 可動はサーボーモーターによりワイヤーを介して7o稼動する。始動時には高速位置(全開)になり、圧縮を下げキックを軽くすると同時にセルフクリーニングを行う。 市販ストリートバイク向けとしてはRZRに初めて投入された。 参考:2スト(RZR)の基本構造について その後、さまざまなテストのすえに1982年ケルンショーにて350R(欧州名 RD350LC)が市場発表され、ヨーロピアンライダー達を釘付けにした。実際に販売されると欧州では「RDカップ」なるワンメイクレースがRZ時代より行われていたが、上位が新旧ですっかり入れかわるほどのポテンシャルアップで人気を博した。 RD350LC時代:YouTube pauljh1968氏アップロード動画へリンク RD350LC(YPVS)時代:YouTube yds250氏アップロード動画へリンク 日本国内では、輸出モデルに遅れること1ヶ月。1983年2月にRZ250R(29L)がデビュー。最高出力43PS、1L当り172PS、パワーウエイトレシオ3.37kg/PSの2スト・パラレルツイン・スポーツが誕生した。 RZからの伝説「350ccはナナハンキラー」「250ccはヨンヒャクキラー」の言葉はその後も継承されていく。 ただし、実際の日本国内は車検制度の関係もあり、RZ350R(RR)はあまり人気が無く、人気の中心はRZ250Rであった。また、当時FVレースが今からは想像できないほど流行っており、チューニングパーツも様々な物が販売された。 当時の有名ショップではSP忠男、YUZO MRD、SS−ISHII(現OXレーシング)、パドックO&M(現ミハラスペシャリティー)、モトイネレーシング、イノウエ等々。 参考:RZR当時仕様について(間違った改造をしない為にも) |
RZ250Rの歴史 | 1983年広告より |
RZ250RはRZ(RZ250 4L3)のモデルチェンジとして、1983年のデビュー以来、数々の進化をして1988年に製造中止となりましたが、今でも多くのオーナーに愛され街中やサーキットで見ることが出来るYAMAHA 2ストロークの名車です。 同時期に人気を博した他メーカーのバイク(VT、NS、MVX、RG-γ、KR)は現在ほぼ絶滅(笑)してしまいましたが、RZRはどうでしょう? 今でもRZとともに雑誌に特集が組まれ、筑波サーキットで行われるテイストオブツクバなどのレースでも多数のエントリーがされています。これだけ、絶版車でありながら多くのオーナーに愛されている2ストバイクが、他にあるだろうか?いや、きっと無い!! さあ、あなたならRZRのどの機種に乗りますか!? 参考:機種コードについて(機種コードの名付け方) |
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1984年3月発売のフルカウル付(アンダーカウル・シングルシートカバー無しが標準)のスポーツバージョン。 単なる外観だけの変更ではなく、強制開閉キャブ・チャンバータイプマフラー・新ポート採用のシリンダ等の変更で45PSを達成。 乗り比べると良く分かりますが、大きなアッパーカウルのおかげで他の機種より空力が圧倒的に優れています。とにかく体に風を受けにくく高速巡航もしやすいです。 アッパーカウルやメーターも29Lの三叉マウントでは無く、フレームマウントととし、フロント周りも29Lの様に重さを感じさせない。 なんと言っても、ストロボカラーのやつは横に流れるラインがTZっぽくて好きです。 なお、このアッパーカウルはRZV500と共通パーツです。またサイドミラーは純正品しかピッタリ付くものが無く、かつ絶版パーツです。ちなみにこのサイドミラーは視認性が超悪いです。後ろ、、、、ほとんど見えません(笑) 上写真はフルカウルのYSP限定仕様。他に白/赤、白/青カラー有り。 フレームNo.29L−040101〜 <51Lカタログより> いままた、RZの挑戦が始まった。 走る。ただそれだけでスポーツになりえるモーターサイクルは、そう多くない。メカニズムや、スタイルや、スペックだけでは、とても到達できない、もっと精神的な”何か”がそこに必要だからだ。<RR:ダブルアール>に跨り、シールドを降ろし、スロットルを軽くあおってやる。CONCENTRATION!心が最初のコーナーへと駆り立てられる。この水冷2ストローク・ツインは、スポーツの空気を呼吸している。 <RR>は、スパルタンをきわめたスペックで包まれて登場。’83ワールドチャンピオン・マシンTZで鍛えた最先端テクノロジーと、走ることを純粋なスポーツととらえる精神を秘めて、いままた、RZの挑戦が始まった。 |
他メーカーの2スト車も頻繁にモデルチェンジする中、RZRも販売開始後わずか3年の1986年7月にフルモデルチェンジとなる。車体腰上の変更をメインに、スリムなタンク・シート・カウル、ホイール形状の変更等により。ライディング時の自由度がアップしている(乾燥重量も136kgへ軽量化)。 ただし、ヤマハの2ストレーサーレプリカとして1985年にはTZR(1KT)が発売され、RZRは2ストのトップランナーとしての位置付けはもはやなく、気軽に楽しめる2ストスポーツとして発売されていく。 また、細かいところも色々改良されており、かつては故障の少ないモデルでお安くRZRに乗りたい方には一番お薦めのモデルであったが、今ではメンテされた車両じゃないと、、、、無理っす。 上写真のゴロワーズカラーはクリスチャンサロンのファンは泣いて喜んでいました。 個人的にはこれまでの29L-1ARのちょっとマッチョな車体からスリムな車体になり、RZ初期型に回帰した印象を受けました。 他に白/赤、黒/銀カラーがある。 フレームNo.29L−100101〜 <1XGカタログより> RZイズム! 乗ることが、誇り高いライダー達の意思表示となる。ヤマハ2ストロークスポーツ、走りの正統RZ250R。 神話と呼ばれるその栄光の歴史に、また新しい1ページが書き加えられる。 シンプルにスリムに磨き上げられたフォルム。徹底した軽量化。操縦安定性と信頼性の更なる向上のために細部にわたったチューニング。モーターサイクルの基本形として、RZは熟成を重ねる。 ライダー達の熱い思いにこたえて、新しいRZが走り出す。 |
1988年7月最終型となる。前後足回り17インチ、デジタル進角CDIにて走りのポテンシャルUP&熟成進む。 しかし、レプリカ時代の名車TZR(1KT)がすでに1985年から発売されており、RZRはYAMAHA 2ストの主役からすで降りていた。そして.....生産中止となる(ToT)。 最終型(一番新しい)であるせいか、他の機種はイジくりまわされた中古車が多いのだが、3HMはノーマル状態でキレイな車両が中古市場にちょくちょく出てくることがある。ただし、こちらも他の機種同様、程度が良ければ高値が付くことが多いです。 29Lから熟成に熟成を重ねた最終型です。オールマイティなポテンシャルはまさに2ストスタンダードだと思います。 これまでの18インチも良いですが、個人的にはRZR(2スト)に乗ったことがなければまず3HMのノーマル車両に乗ってもらいたいと思います。17インチの足回りと完成されたノーマルエンジンやスタイルはどんなシュチュエーションでも楽しめると思います。 ちなみに、前後足回りは三叉ごとやスイングアームごとであれば、これ以前の機種にポン付けOKです。また、この3HMスイングアームにはR1ZやTZR(2XT)のラジアルタイヤ用の太いホイールがポン付けOKです。 他に白/赤カラー有り。 フレームNo.29L-120101〜 <3HMカタログより> 2ストロークの原点にこだわると、フィロソフィはRZに還っていく。 圧倒的としかいいようのない加速性能。俊敏なレスポンス。2ストロークマシン本来のスパルタンなライディング感覚を磨きこむことに専念して、RZは開発された。そのフィロソフィへのピュアなこだわりが、数々の新しいテクノロジーを生み、RZ乗りと呼ばれるライダー達との共感を育んできたのだ。 2ストロークマシンに走りの原点を求める、スパルタンなライダーのために。ニューRZ250R。
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番外:ショップコンプリート 人気のあったRZR!多数のショップからコンプリートマシンや専用カラー(カウル)も販売されました |
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'90年の雑誌より。若者向けではなく、当時の30歳代をターゲットにして作られたマシンのようです。 | YAJIMA折カタログ。レーシーなイメージのカウルが特徴。独特のカラーリングもオリジナルティーがあふれていました(RZRのみの画像その1、その2)。 |
基本構造はRZ250Rと同一だが、コイツはエンジンが最高出力55PS/9000rpm、最大トルク4.4kg・m/9000rpmのナナハンキラーマシンです。 現在においても、チャンバー、キャブなどを交換(レーサー仕様)すれば70PS以上を叩き出し、パワーウエイトレシオに優れる2スト車の見本の様なマシンになります。エンジンは250ccオーナーの憧れの一品です。 ただし、車検もあることから実際の登録台数も少なく、しかもそのエンジンはそのままRZ250やRZ250R(RR)に掟破りの載せ換えも可能だったことから、現在国内では実走しているRZ350R(RR)より、350RエンジンのRZ250R(RR)改の方が多いと言われている。 なお、350RのエンジンはRZR生産終了以降もATV(YF350Z Banshee バンシー)のエンジンとして製造され続けていた為、アメリカではATVレースも盛んなことから、RZRに流用出来る過激な改パーツも多数存在する。 29Kと52Yの諸元に大きな差は無いが、52Yの方がキャブレター等の違いによりレスポンスが良く性能上は一段上だが、登録台数が29Kよりさらに少なく、今では滅多に見かけない。 29K:1983年5月発売。フレームNo.29K-000101〜 52Y:1984年4月発売。フレームNo.29K-020101〜 管理人が乗ってみての感想は350Rの真骨頂は馬力云々よりも排気量増のもたらすトルク感である。 250Rではちょっと気になるトルクの谷もほとんど無く、どこからでもグイグイと押してくれるかのようなトルク感はとにかく乗りやすく「一度サンゴーに乗ったら、もうニーハンに戻れない」と多くのオーナーから聞くコメントもうなずけます。 もちろん、高回転でのパワー感も250Rとは比べるまでもないです。 また、ミスターバイクBGの「絶版車を斬る」でお馴染みの市川仁氏も同誌上で「事実上、最強の2ストパラツーだ!」、「国内では少々マニアックな350ではある。が、俺はこの車体に載せるならば350ccがしかるべき姿であると、乗って改めて感じた」とコメントしている。 (ミスターバイクBG '97 5月号より) |
どれも国内よりイイ色です。特に上画像右のUSA仕様(48H)はビキニカウルに「ケニーロバーツ」のサイン入り+USインターカラーで最高にカッコイイです。 海外のRZRは国内より長い間、生産され進化していきました。1990年代初めの末期の型式では2灯ライトのフルカウル! また、350Rエンジンは高出力エンジンとしてATVバンシー(YF350Z)に長い間流用されてきました。しかし、2スト規制の波に飲まれて2003年カタログから消えました。 エンジン形式は31K、48H、1UA、、、、と国内形式とは異なり、ポート(最高出力)も型式で若干ですが違うようです。1UAのシリンダ一番パワーが出ると言われています。 アメリカ仕様48Hでは排ガス対策でマフラーにキャタライザーも装備して、出力もかなり抑えられているようです。 |